からすむぎ (烏麦) 

学名  Avena fatua
日本名  カラスムギ
科名(日本名)  イネ科
  日本語別名  チャヒキグサ(茶挽草)、スズメノムギ、ニシムケヒガシムケ・ミギムケヒダリムケ、ジネ
漢名  野燕麥(ヤエンバク,yěyànmài)
科名(漢名)  禾本(カホン,hébĕn)科
  漢語別名  燕麥草
英名  Wild oat

2022/05/24 野川公園自然観察園 

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2006/05/22 新座市中野

2005/06/08 所沢市南永井
2004/07/06  三芳町竹間沢

 カラスムギ属 Avena(燕麥 yànmài 屬)には、約35種がある。

  ミナトカラスムギ A. barbata(裂稃燕麥)
南ヨーロッパ原産 
  チュウゴクカラスムギ A. chinensis(A.sativa var.chinensis,
         A.nuda var.chinensis;莜麥,yóumài)
独墺原産 中国で栽培・粉食
  A. eriantha(異穎燕麥)
  カラスムギ A. fatua(野燕麥;E.Wild oat)
『中国雑草原色図鑑』291 
    コカラスムギ var. glabrata
  ハダカエンバク A. nuda(莜麥,yóumài)
マカラスムギから選抜された裸性のもの
  
マカラスムギ(オートムギ・エンバク) A. sativa(燕麥・鈴當麥・香麥;E.oat)
         
カラスムギから歐洲で選抜された栽培植物。『中国本草図録』Ⅸ/4394
  A. sterilis
    オニカラスムギ subsp. ludoviciana(A.persica, A.ludoviciana;長穎燕麥)
         
ヨーロッパ・西アジア原産 
  セイヨウチャヒキ A. strigosa
   
 イネ科 Poaceae(Gramineae;禾本 héběn 科)については、イネ科を見よ。
 「和名烏麥ハからすノ食フむぎノ意、雀麥ハすずめノ食フむぎノ意ナリ、又茶挽草ハ小兒其穗ヲ採リ唾ヲ付ケシ爪上ニ載セ之レヲ口ニテ吹ケバ茶臼ヲ挽ク如ク囘旋スルヲ以テ斯ク云フ」(『牧野日本植物図鑑』1940初版)。
 
この牧野富太郎の文章は、後の『改訂増補 牧野新日本植物図鑑』(筆者が見ているのは1989版)では「子供がその穂を採り、油をつけてうりの上にのせ、吹けば茶をひくように廻るのでこのようにいう」と書き直されている。唾を油と誤り、爪を瓜と誤った上で、瓜の上に油をつけるのは意味が分からないから、烏麦の穂の方に油をつけることにしたのだろう。 なお、最新の『新分類 牧野日本植物図鑑』(2017)では、件の個所は「茶挽草は子供がその穂を採り、唾をつけた爪の上にのせ、吹けば茶臼をひくように廻るのでこのようにいう」と牧野の原意に戻されている。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)麦に、「和名加良須毛岐」と。
 源順『倭名類聚抄』
(ca.934)穬麦に「和名加良須牟岐」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』18(1806)穬麥に、「カラスムギ和名鈔 カウボウムギ」と。
 西アジア原産。日本には麦とともに入ったものであろう、といい、今日では全国に帰化。
 茎・葉を飼料・肥料とするほか、中国では実を救荒食として利用した。
 また、全草を薬用にする。
 中国では、『爾雅』釋草に「蘥(ヤク,yue)、雀麥(ジャクバク,quemai)」と、郭璞注に「即燕麥(エンバク,yanmai)也」と。
 
  燕麦
(からすむぎ)のなびきおきふす山畑晴れたりとおもふにはや曇りける
     
(1932志文内,斎藤茂吉『石泉』)
 

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